大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

名古屋高等裁判所 平成元年(行コ)14号 判決

控訴人

日本サーキット工業株式会社

右代表者代表取締役

松村司郎

右訴訟代理人弁護士

木村豊

被控訴人

愛知県地方労働委員会

右代表者会長

大塚仁

右指定代理人

中西英雄

鶸田正彦

竹崎巖

加藤美代子

山村豊樹

被控訴人補助参加人

寺沼一雄

右訴訟代理人弁護士

山田敏

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用及び当審参加費用は控訴人の負担とする。

事実

第一控訴の趣旨

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が、控訴人と被控訴人補助参加人との間の愛労委昭和五五年(不)第三号不当労働行為救済申立事件について昭和五八年三月三一日付でした命令を取り消す。

三  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とし、参加費用は補助参加人の負担とする。

第二当事者の主張

当事者双方及び補助参加人の主張は、次に付加、訂正するほか原判決の事実欄第二に記載されているとおりであるから、これをここに引用する。

一  原判決七枚目裏末行(本誌五五三号〈以下同じ〉、54頁3段27行目)及び一九枚目表八行目(57頁3段12行目)の各「判続不能」をいずれも「判読不能」と改める。

二  同一二枚目裏五行目(55頁4段19行目)から九行目(55頁4段26行目)までを次のとおりに改める。

「(二) 控訴人の技術グループは、昭和四七年一〇月上旬頃、それ以前に存在していた生産技術課と研究開発室とが改組、統合されることによって設けられた組織で、控訴人(会社)における技術の研究開発の業務を担当していたものであるが、昭和四九年五月頃、当時における技術グループの唯一の研究テーマであったアディティブプロセスの開発業務が廃止されたことにより、その所掌する職種ないし部署が事実上存在しなくなり、現在は、技術グループと言っても、それはただ職名として残っているにすぎない。したがって、本件命令主文第一項は、控訴人においてその内容を履行することが不可能であるから、違法といわなければならない。」

三  同二〇枚目裏四行目(57頁4段24行目)の次に行を改めて次のとおり加え、同五行目の冒頭の「(二)」を「(三)」と改める。

(二) (二)について

昭和四七年一〇月上旬頃に技術グループが所掌していた業務は、製品の品質管理及び検査、工程の技術上の管理及び改良、新技術の研究開発等であった。ところで、なるほどその後右業務のうちの新技術の研究開発に関する業務は控訴人の経営方針により廃止されはしたが、技術グループの所掌業務のうちの新技術の研究開発を除くその余の業務が製造会社である控訴人にとって当然に必要なものであることは明らかである。そして、これら業務は後に生産管理課に引き継がれ、更にその後管理課に引き継がれてゆき、本件命令が発せられた当時は右管理課がその業務を行っていたのである。

第三証拠

証拠関係は、原審及び当審訴訟記録中の証拠目録欄に記載されているとおりであるから、これらをここに引用する(略)。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は理由がないから棄却すべきものと判断する。そして、その理由は、次に付加、訂正するほか、原判決の理由説示のとおりであるから、これをここに引用する。

1  原判決二二枚目表八行目の「補助参加人本人尋問の結果」(58頁2段16~17行目)を「原審及び当審証人寺沼一雄(補助参加人)の各供述」と改める。

2  同枚目裏八行目の「争いがない」(58頁2段29行目の(証拠略))の後に「甲第一三号証、」を、同二三枚目表一行目の「四一、」(58頁2段29行目の(証拠略))の後に「丙第一四号証ないし第一六号証、丙第一九号証の二、」をそれぞれ加え、同枚目表末行の「及び野田」(58頁2段30行目)を「当審証人佐藤俊一及び原審と当審における野田」と改める。

3  同三三枚目表一〇行目の「(後に管理課となる。)」(61頁1段21~22行目)を「(後に本件命令が発せられた昭和五八年三月三一日当時は管理課となり、さらにその後製造管理部二課及び三課となり、現在に至っている。)」と改める。

4  同四三枚目表七行目の「昭和四九年」(63頁4段18~19行目)を「昭和四七年」と、同枚目裏二行目から三行目(63頁4段28行目)にかけての「(後の管理課)」を「(本件命令が発せられた昭和五八年三月三一日当時は管理課)」とそれぞれ改める。

5  同枚目裏五行目(64頁1段1行目)から九行目(64頁1段7行目)までを次のとおりに改める。

「 以上によれば、本件命令主文第一項の『昭和四七年一〇月上旬ころに技術グループが所掌していた業務を担当している部署』には右『管理課』がこれに当たるとみるべきである。したがって、本件命令主文第一項は、その発せられた時点(即ち処分時)において、その内容の履行ないし執行が不能であることを命じているとはいえないから、右主文第一項に違法な点はなく、控訴人の右主張は理由がない。なお、付言すると、前記認定のとおり本件命令の発せられた当時管理課が所掌していた右業務はその後さらに製造管理部二課及び三課に引き継がれて現在に至っているのであるから、本件口頭弁論終結時においても、本件命令主文第一項の履行を不能ならしめるような事情の変更は認められないのである。」

二  よって、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であって、本件控訴は理由がないから棄却することとし、控訴費用及び当審参加費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民訴法九五条、八九条、九四条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 服部正明 裁判官 林輝 裁判官 鈴木敏之)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例